蝋人形を凌ぐリアルフィギュアの素材

蝋人形を凌ぐリアルフィギュアの素材

技術進歩に伴う低コスト化

蝋人形といえば、マダムタッソーの蝋人形館は世界的にも有名ですが、それ以外にも博物館や資料館、アミューズメント施設等で見かけたことがあるのではないでしょうか。
その技術は古くからあり、蝋を溶かして型に流し込み、職人の手によって、リアルに着色され、精巧な人形が作られてきました。
多くは歴史上の人物や有名芸能人、スポーツ選手など有名人を起用しており、まるで本人と会っているかのような体験ができます。
かつての蝋人形の役割は、現在ではシリコンやFRPを素材とした、等身大フィギュアが取って代わろうとしています。
モデルを直接型取りする技術の進歩や、3Dスキャナー、3Dプリンター等のデジタル機器の導入、ハリウッドの映画産業から生まれた特殊メイク、特殊造形技術は、さらに高い精度と、制作にかかる時間の短縮、低コスト化を実現しているのです。

リアルに近づいてきた素材

素材として使われる物の一つでもあり、特殊メイクや医療用のエピテーゼ(補綴)等にも使われる、シリコンという素材があります。
蝋人形は、蝋で製作されていて、肌には蝋特有の光沢があるため、人形であることがすぐにわかってしまうでしょう。
しかし、シリコンは皮膚独特の透明感や、質感を表現することができ、時間と共に変色や劣化が少ない素材です。
また、マネキン人形等の素材として、一般的なFRPという素材も使用します。
繊維と樹脂を用いてプラスチックを補強し、耐候性、耐熱性などに優れ、様々な形状に形成することが可能になっています。

航空産業をはじめ、宇宙分野や自動車、鉄道産業にも多く用いられている素材です。
軽量でメンテナンス性の良さ、丈夫の特徴に加え、最近ではシリコン製のような皮膚感の表現が可能になりました。
素材の特徴を考慮した上で、用途や展示する環境等により使い分けることができます。
例えば、屋内の展示で出来るだけリアルに質感まで表現したい場合は、シリコンを使用する場合が多く、運搬のために出来るだけ軽く作りたい、ポーズや展示状況の都合上強度が必要な場合は、FRPを使用します。
さらに、製作方法も進化しているのです。
モデルとなる人物の顔や身体を、型取り用の印象材を使い直接型を取るライフキャストという製法や、3Dスキャナーを使い形態をデジタルデータとして取り込み3Dプリンターで石膏や樹脂製の造形物として、出力する製法等があります。
これらの技術は、写真資料や採寸だけで製作するより、大幅に製作時間を短縮出来るだけではなく、寸法精度も上げられるので有名人等のそっくりフィギュアにも使われています。