等身大フィギュアの職人技が光る製作工程

等身大フィギュアの職人技が光る製作工程

本物そっくり等身大フィギュア

等身大フィギュアが活躍するシーンは、博物館や、イベント会場の他にスポーツチームやアパレル関係、アミューズメント施設、映画製作、各種広告媒体など以前に比べて幅広くなっています。
常に注目される等身大フィギュアは、よりリアルに近づけるために、使われる素材や、技術も進化しているのです。
その製作工程には、現代の特殊造形技術が集約されています。

等身大フィギュアの製作工程

高品質なシリコンを用いて作られる等身大フィギュアは、肌の微妙な濃淡や小じわ、毛並みまで、本物そっくりに再現することが可能です。
最新の素材を使った等身大フィギュアの製作工程を見ていきましょう。

1.スキャンorライフキャスト

スキャンorライフキャスト

タレントさんや有名人等のそっくりフィギュアの製作工程は、まず顔や身体の型取りから始まります。
印象材を使い直接型取る(ライフキャスト)方法と、3Dスキャナーでデータを取り込む(スキャニング)方法があります。
どちらも、採寸や写真のみで製作するよりも正確に形が作ることができ、製作時間も大幅に短縮が可能です。

2.粘土彫刻

粘土彫刻

顔や身体を型取った型に油粘土を流し込み顔型、身体型のコピーを粘土で製作します。
3Dスキャンした場合は、3Dプリンターで樹脂や石膏で出力してからもう一度型取りして、粘土に置き換えます。
粘土に置き換えた後は、写真資料を元に手作業で表情や細部のディテールの修正作業です。
最終的には、毛穴の一つ一つまで細かく彫刻していき、身体も同じ様にして製作します。

3.型取り~成形

型取り~成形

彫刻が完成したらそれを型取って、成型用の型を作ります。
身体全体を製作する場合は、パーツに分けて型取り、成型後に組み合わせます。
そして成型用の型に、フィギュアの素材となるシリコンやFRPを塗り込み、成型作業です。
素材は元々色がついていない(半透明)のであらかじめモデルとなる人の肌の色に合わせて染めて(内部着色)おきます。

4.着色

着色

その後は型から外し、成型した素材にペイント(外部着色)を施す作業です。
リアルな皮膚感を表現するために、静脈や毛細血管から表皮の日焼けの色まで下部から順に何層も重ねて着色します。
人の肌は部分ごとに色味が違うため、時には数十色もの色を使い分けて着色する必要があります。

5.植毛、義眼製作

植毛、義眼製作

ペイントが仕上がった後は、眉毛まつげ髪の毛を製作します。
皮膚資材をシリコンで製作した場合は、毛を一本一本針で植え込むことができます。
そのため、近くから見ても本当に生えているかの様に見えるでしょう。
同時に義眼の製作も行い、モデルとなる人の瞳の大きさと色に合わせて、手作りで製作します。

6.仕上げ

仕上げ

全体を組み合わせて、衣装を着せ、必要であれば展示用の台座に固定して完成です。
全ての作業で2~3か月はかかるでしょう。
製作期間が取れない場合は、衣装で隠れる部分を既製品のマネキンを使用することもできます。
製作箇所を肌の露出部分のみに絞って、製作にかかる時間とコストを削減することができます。